
SNSマーケティングは、企業がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用して商品やサービスの認知度を高め、売上向上を図る手法です。近年、スマートフォンやSNSの普及により、その重要性が増しています。
今回は、様々な事例を交えてSNSマーケティングを少しでも導入するきっかけが出来たらと思っていますので最後まで是非お読み下さい。
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、YouTube、TikTokなどのSNSを通じて、顧客とのコミュニケーションを図り、認知拡大やファン獲得、ブランディングを行うマーケティング手法です。具体的な手法として、以下の5つが挙げられます。
実際の成功事例と合わせてしっかり把握しておきましょう。
1.SNSアカウント運用: 企業の公式SNSアカウントを作成し、定期的に情報発信やユーザーとの交流を行います。
ユニクロ: InstagramやX(旧Twitter)などで、ファッション情報やコーディネート例を定期的に発信。有名人やファッションブロガーとのコラボレーションを通じて話題性を高め、フォロワー数を急増させました。また、ストーリーズ機能を使い、ユーザーの質問にリアルタイムで回答することで、コミュニケーションを活性化しました。
ユニクロ X
ユニクロ Instagram:https://www.instagram.com/uniqlo_jp
マツモトキヨシ: YouTubeチャンネルを開設し、美容や健康に関する情報を発信。X(旧Twitter)では24時間365日DM対応を行い、ユーザーとの信頼関係を構築しました。
マツキヨココカラ
2.SNS広告: SNSプラットフォーム上で広告を配信し、ターゲットユーザーにリーチします。
GU: 人気YouTuber「水溜りボンド」を起用し、「1万円コーデ対決」という動画企画を実施。約3ヶ月で再生回数104万回以上、高評価2.8万件を記録し、大きな拡散効果を得ました。
GU YOUTUBE:https://youtube.com/@gu_global?si=keOxXh-ihOcdImfH
Taco Bell: ソーシャルリスニングでポジティブな投稿をしたユーザーをターゲットに広告配信。これによりアプリダウンロード数が370万以上に達し、購入率も20%向上しました。
Taco Bell Japan
3.インフルエンサーマーケティング: 影響力のあるユーザー(インフルエンサー)と協力し、SNSを通じて商品やサービスのプロモーションを行います。
花王「リップモンスター」: 美容系インフルエンサーとのコラボで若年層女性への認知度を大幅に向上。商品の魅力をインフルエンサー自身の言葉で伝えることで高いエンゲージメント率を達成しました。
じぶんdeエステ: 人気タレントを起用し、ターゲット層への訴求力を強化。インフルエンサーの影響力でエンゲージメント率10.2%(平均8.9%)と高い成果を得ました
4.SNSキャンペーン: フォロワー参加型のキャンペーンを実施し、SNS上のエンゲージメントを高めます。
ユニクロ: 「秘密のハッシュタグ」を使ったX(旧Twitter)キャンペーンで、引用リツイート2,000件以上を獲得。ライブ配信と連動させることで、自社サイト訪問者数も増加しました。
有楽製菓「ブラックサンダー」: バレンタインデー限定96分間キャンペーンでトレンド入りし、ブランド認知度向上とUGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出につながりました
ブラックサンダーさん(公式)
5.ソーシャルリスニング: SNS上のユーザーの声を分析し、商品開発やサービス改善に活かします。
日清食品: SNS上の「カップヌードルは他の味と混ぜると美味しい」という投稿から新商品のアイデアを得て商品化。これにより市場での競争力が向上しました。
カップヌードル
SNSマーケティングが注目される理由
1. SNS利用率の向上
総務省の調査によれば、スマートフォンの普及に伴い、SNSの利用率は全世代で増加しています。特に若年層だけでなく、40~59歳の約80%以上、60歳以上のシニア層でも半数以上がSNSを利用しており、幅広い年代にリーチできるツールとなっています。
媒体名 | 媒体の特徴 | 日本MAU | 世界MAU |
YOUTUBE | 世界最大の動画共有プラットフォーム。幅広いジャンルの動画を視聴、投稿できる。 | 7,860万人 | 27億人 |
TIKTOK | ショート動画に特化したSNS。短い動画を通して、誰でも簡単に情報発信や交流ができる。 | 2,605万人 | 10.4億人 |
写真や動画の共有に特化したSNS。ビジュアルを通して、日々の出来事やライフスタイルを発信できる。 | 5,545万人 | 20億人 | |
実名登録制のSNS。世界中の人々と繋がり、情報交換や交流ができる。 | 1,575万人 | 30.7億人 | |
画像共有に特化したSNS。興味のある画像を収集、整理し、アイデアの発見や共有ができる。 | 811万人 | 5.37億人 | |
X(Twitter) | 短文投稿型のSNS。リアルタイムな情報発信や意見交換に利用される。 | 6,600万人 | 5億人以上 |
LINE | メッセージアプリ。コミュニケーションツールとして、幅広い世代に利用されている。 | 9,600万人 | 1.78億人 |
2. 消費行動の多様化
インターネットの普及により、消費者のライフスタイルやニーズが多様化し、個々の嗜好に合わせたマーケティングが求められています。SNSは、ユーザーの興味や関心に合わせた情報発信が可能であり、個別のニーズに対応しやすい媒体です。

3. 検索・比較・検討の場としてのSNS
消費者が商品やサービスを検討する際、従来の検索エンジンだけでなく、SNSでの情報収集が増加しています。特に若年層では、SNS上での口コミやレビューを参考に購買判断を行う傾向が強まっています。
特に、Z世代の約60%が「新しい商品を購入する際にはSNSで口コミやレビューを調べる」と回答しています。彼らはトレンドを主にSNSで把握し、購入前にはInstagramやTikTokなどで検索を行う傾向があります。

SNSマーケティングのメリットとデメリット

SNSマーケティングのメリット
- 費用対効果が高い: 無料でアカウントを開設でき、広告費用も比較的低コストで始められます。
- 認知拡大: 拡散性が高く、短期間で多くのユーザーに情報を届けられます。
- ユーザーとの直接的な交流: コメントやメッセージを通じて、ユーザーの声を直接聞くことができます。
- ブランディング: 継続的な情報発信により、ブランドのイメージ向上やファンの獲得が可能です。
SNSマーケティングのデメリット
- 炎上リスク: 不適切な投稿や対応により、批判が集中するリスクがあります。
- 専門知識の必要性: 効果的な運用には、SNS特有のアルゴリズムやユーザー行動の理解が求められます。
SNS時代に必須の購買モデル:VISAS・SIPS・ULSSASを解説
SNSの普及に伴い、消費者の購買行動を説明する新たなモデルが提唱されています。以下に代表的な3つのモデルをご紹介します。
1. VISASモデル
- 構造: Viral(口コミ)→ Influence(影響)→ Sympathy(共感)→ Action(行動)→ Share(共有)
このモデルは、SNS上での口コミから始まり、共感を経て購買や共有に至るプロセスを示しています。特に、発信者への共感が購買意思決定において重要な役割を果たします。

2. SIPSモデル
- 構造: Sympathy(共感)→ Identify(確認)→ Participate(参加)→ Share&Spread(共有・拡散)
消費者は、共感した情報を確認し、「いいね」や購入などで参加し、その後、体験を共有・拡散します。このモデルでは、必ずしも購入がゴールではなく、ブランド力の向上にも寄与することが特徴です。

3. ULSSASモデル
- 構造: UGC(ユーザー生成コンテンツ)→ Like(いいね!)→ Search 1(SNS検索)→ Search 2(検索エンジン)→ Action(行動)→ Spread(拡散)
このモデルは、SNSと検索エンジンを組み合わせた複合的な検索プロセスを反映しています。消費者はまずSNSで情報を得て、その後、さらに詳細情報を検索する傾向があります。
これらのモデルは、SNS時代における消費者の購買行動を理解し、効果的なマーケティング戦略を立てる上で有用です。

SNSマーケティングの成功事例
様々な業界においてSNSマーケティングを活用した成功事例があります。その中でもいくつか業界が違うものの事例をご覧下さい。
1. 食品業界:ローソン(X/Twitter)
ローソンは、スイーツ「バスチー」の販売においてSNS映えを意識したマーケティングを展開しました。キャッチーなネーミングやパッケージデザインを採用し、X(旧Twitter)でのシェアを狙ったプロモーションを実施。その結果、発売から4ヶ月で1,900万個を売り上げる大ヒット商品となりました。SNSでの拡散力を前提とした商品開発が成功の鍵でした。
2. 化粧品業界:ロート製薬(TikTok)
ロート製薬は、TikTokでプチプラ化粧水を使ったスキンケア動画を投稿し、若年層へのリーチに成功しました。視聴者層と商品のターゲットが一致しており、流行りの曲やテンポの良い動画でユーザーの興味を引き付けました。これにより、TikTok特有のバイラル効果を活用し、大きな注目を集めました。
3. 観光業界:ホテルメトロポリタン エドモント(Instagram)
ホテルメトロポリタン エドモントは、Instagramの「リール機能」を活用し、厨房での仕事風景やスタッフの笑顔など、人間味あふれるコンテンツを投稿しました。これにより、ホテルの魅力やスタッフの日常が視覚的に伝わり、多くのユーザーから支持されました。この戦略はブランドイメージ向上とエンゲージメント増加につながりました。
4. 教育・サービス業界:Duolingo(X/Twitter)
語学学習アプリ「Duolingo」は、日本公式アカウントでユーモアあふれる投稿やユーザーとの積極的なコミュニケーションを展開。公式キャラクター「デュオ」を活用し、ユーザー投稿への引用リツイートなどで拡散力を高めました。この親しみやすい運用スタイルが多くのフォロワー獲得につながっています.
5. ネットショップ:北欧、暮らしの道具店(Instagram)
北欧雑貨を扱うネットショップ「北欧、暮らしの道具店」は、自社商品のライフスタイル提案型コンテンツをInstagramで毎日投稿。商品の使用シーンに合わせた投稿時間や商品タグ付きリール動画など、購入までの導線設計が徹底されており、フォロワー100万人以上という大規模なファンベースを築いています
中小企業がSNSで成果を出す!成功事例と学ぶポイント
大手だけでない、中小企業こそSNSでチャンスをつかめるたくさんあります。今回はいくつか事例を集めてきたので参考に自社に取り入れてみて下さい。
1. 製造業:HILLTOP(Instagram)
金属加工メーカーのHILLTOPは、Instagramで自社製品の部品写真を積極的に投稿し、ビジュアル訴求を強化しました。材質やサイズ感がわかる内容で、顧客が注文時にイメージしやすい工夫がされています。この戦略により、BtoB業界でもSNSを活用した認知度向上に成功しました。
https://www.instagram.com/hilltop_corp
2. 美容サロン:LINE公式アカウントの活用
ある美容サロンは、LINE公式アカウントを活用してリピーター獲得に成功しました。新規顧客には季節ごとの特別メニューを配信し、既存顧客にはリピート割引情報を提供。これにより、リピート率が0人から20人に増加し、LINEを通じた顧客関係の強化が実現しました。
3. 飲食業:代官山Candyapple(TikTok)
りんご飴専門店「代官山Candyapple」は、TikTokでフォロワー10万人を目指すキャンペーンを実施。「ネタ切れしそう」と正直な投稿でユーザーの共感を呼び、215万再生と500以上のコメントを集めました。その後もユーザーの意見を反映した企画を展開し、ファンベースの拡大に成功しました。
4. 教育・サービス業:株式会社EMOLVA(Instagram)
株式会社EMOLVAの代表は、自身のInstagramアカウントでアニメ紹介や経営者視点の投稿を毎日行い、40万人以上のフォロワーを獲得しました。社員全員がインフルエンサーとして発信する体制も整えられており、中小企業ならではの親近感ある運用が特徴です。
5. 製造業:石井精工(YouTube)
ゴム成型用金型メーカーの石井精工は、自社製品や技術をYouTubeで発信し、専門性の高い情報提供で顧客との信頼関係を構築しました。動画コンテンツによる視覚的訴求が功を奏し、新規顧客獲得とブランド認知度向上につながっています
SNSマーケティングを成功させるポイント
目的とターゲットの明確化:
何を達成したいのか、誰に向けて発信するのかを明確に設定します。
適切なプラットフォームの選択:
ターゲットユーザーが多く利用するSNSを選びます。
コンテンツの質と一貫性:
ユーザーに価値を提供する高品質なコンテンツを、定期的かつ一貫して投稿します。
ユーザーとのエンゲージメント:
コメントやメッセージに積極的に対応し、ユーザーとの関係を深めます。
効果測定と改善:
投稿の反応やデータを分析し、戦略の改善に活かします。
ファーストテンプルサポート事例:消費財メーカーのSNSマーケティング支援
弊社株式会社ファーストテンプルが関わった中小企業の事例では、消費財メーカー様において、Instagramを活用しフォロワーを4500→10万まで伸ばす事によりブランドの認知が広がり、話題も広がる事でベストコスメに毎年入るような人気ブランドへと成長する事が出来ました。
また、SNSの人気が増えれば増える程売上も増加し、売上を2倍以上大幅に成長し、ドラックストアにおいての販売実績では大手ブランドを抜くような実績も出るほど売れるようになりました。
以下を弊社では意識をして運用を行いました。
- ターゲットの明確化: 主に10代後半から30代の女性をターゲットとし、彼女たちの興味や関心に合わせたコンテンツを企画しました。
- コンテンツの質向上: ブランドのイメージ、世界観に合うように、SNSに投稿する写真もすべて弊社で企画、撮影をし、統一感をもったブランド世界感を演出出来、エンゲージメント(ユーザーの反応)も非常に高い状況をキープ。
- ハッシュタグの活用: 関連性の高いハッシュタグを研究し、投稿に適切に付与することで、検索からの流入を増やしました。
- ユーザーとの交流: コメントやメッセージに迅速かつ丁寧に対応し、ユーザーとの信頼関係を構築しました。UGCキャンペーンも定期的にしかけ、ユーザーが投稿してくれた際にはリポストでの反応をしてユーザーとのコミュニケーションも強化
- キャンペーンの実施: 広告を使った新たなファン獲得の為に様々なキャンペーンを仕掛け結果、それが起因してフォロワーも爆発的に伸ばすことに成功しました。

SNSマーケティングのまとめ
SNSマーケティングは、初心者でも取り組みやすく、多くの成功事例が示すように、企業規模を問わず大きな成果を生み出す可能性を秘めています。本記事で紹介した事例からわかるように、目的とターゲットを明確化し、適切なプラットフォームを選択することが成功の第一歩です。また、コンテンツの質や一貫性を保ち、ユーザーとの積極的な交流を図ることで、信頼関係を構築し、長期的な成果を得ることができます。
特に、ハッシュタグの活用やSNS特有の機能を効果的に利用することで、さらに多くのユーザーにリーチすることが可能です。SNSマーケティングは日々進化しており、最新のトレンドや技術を取り入れる柔軟性も重要です。
これからSNSマーケティングを始める方は、ぜひ今回の事例やポイントを参考に、自社の特徴や強みに合わせた戦略を立ててみてください。成功への鍵は、ユーザー視点に立った価値あるコンテンツの提供と、継続的な取り組みです。SNSの力を活用し、ブランドの成長を目指しましょう!
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